シャフトの「お直し」 〜チップカット編(前編)〜

先日のこと。

インターネットショッピングで新しいパンツ(下着じゃない方)を購入しました。
気に入っているパンツの股下を測り、その数値で股下指定をして購入しました。届いて履いてみると、どうもイメージと違う。

お気に入りのパンツよりも仕上がりが長い。

それもそのはず。お気に入りの一本と比べてみたら、股上の深さが異なっていた。だから、同じウェスト位置で履くと裾位置がずれる。メーカーも型番も違うのに、股下寸法だけでジャストサイズになるはずがなかったんです。

その差、2cm。
知った気になって、あるひとつの数字だけを判断基準にしてしまった結果の、こんな失敗。

切り過ぎて寸足らずになっていたらと思うと・・・。980円(税別)のお直し代2回分で、良い勉強になりました。

着るのはたいていファストファッション。入れ知恵ばかりでなにを生意気なことを・・・。

着るものであれば多少寸足らずでもどうにかなるでしょう。
でも、これが1本何万円もするシャフトだったら・・・。



さて、前回はアイアンシャフトでよく使用される微調整(お直し)メニューである『番手ずらし』についてお話しました。

今回は、ウッドクラブで使用されることの多い『チップカット』についてお話をします。

シャフト先端部をカットしてシャフトの振れ幅を抑えることで、振動数を上げたり(硬くする)、シャフト先端部の挙動をおさえるのが『チップカット』。

『N.S.PRO Regio Formula MB誕生までの道のり』の記事でも書きましたが、ゴルフシャフトはテーパー形状。特別なことをしていない状態では、シャフト先端部にいくにつれてしなりやすくなる構造です。一番しなりやすい部分を切り落とす。

これがチップカットです。

簡単なようで、実はものすごくデリケートなこと。

先端部を切り落とすことによって、数値上はあたかもシャフト特性をそのままに全体が硬くなった気になりますが、変化するのは基本的に先端部のシャフト特性。
シャフトによってはそれが逆効果になってしまう(本来持つ特長や性能を殺してしまう)こともあります。

『N.S.PRO Regio Formula B』は、特徴的なシャフト特性(シャフト先端はかなり硬く、中間部は大きくしなる)を持つシャフト。
シャフト先端部をカットすることによって、確かにシャフト先端部のしなり感をおさえ、硬めに仕上げることは出来ます。ですが、元々このシャフトは、当たり負けしない先端部の「強さ」を持つシャフト特性。ある意味このシャフトで最も美味しい部分。チップカットをすればするほど、この「美味しい部分」は失われていってしまいます。

反対に、『N.S.PRO Regio Formula M』は、中間部にしっかり感を持たせ、先端部にしなりを持たせたシャフト。
チップカットをすることで、先端部の挙動を抑えることが出来ます。「ちょっと暴れてしまう」と感じている場合には、チップカットは有効な微調整と言えます。数値上も硬くなるので、例えばSとXの間のイメージを作りやすいのはこういうシャフトの方かもしれないですね。反面で、先端のしなり感を残したまま硬く、というのは難しいです。

いずれも、数値上シャフトは硬くなっているから、あまり気にされない部分ではあります。

チップカットをすることで変化するのは、あくまでも先端部の挙動が中心。
フィーリングの調整に用いる場合、特にシャフト先端部(と中間部)の剛性感に注目して頂くと、想定外の失敗が少ないかと思います。

次回は、チップカットを用いる目的として大事な数字(振動数)のアジャストについてお話をします。




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