シャフト豆知識


第13話 スチールシャフトの製造方法

スチールシャフトがどのようにして作られるか、説明しよう。スチールシャフトとカーボンシャフトでは、素材の組成が基本的に違うため、製造方法としては加工方法や機械設備がまったく異なる。まずスチールの母管だが、これは溶接製法で作る。鉄の塊をいったん薄い板状に伸ばしてそれをロールフォーミングして溶接し、パイプを作る方法だ。ゴルフシャフトは、大変シビアな精度を要求される。その点溶接製法は、薄い板にしたとき管の肉厚にバラツキ(偏肉)がなく、内外面の肌荒れやピンホールなどの微細な欠陥が殆どみられない。これは、Tig溶接という先進の技術で溶接し冷間引き抜きをして、精度を高めていることによるものだ。


第14話 高技術が必要な製造工程

ゴルフ用スチールシャフトの製造工程を説明していこう。ゴルフシャフトの素材には、高品位の磨き特殊帯鋼(フープ)が使われている。この帯鋼を八段に及ぶフォーミングロールで順次円形になるように成形する。次に、無酸化雰囲気ガス内で自動Tig溶接がなされる。Tig溶接で作られたパイプは、製造が容易な上に品質のバラツキがないのが特長で、ゴルフシャフトの母材として勝れる。また、溶接部は、その後の引抜加工や熱処理をくり返すことにより、母材部(溶接部以外の部分)と同一組織となる。造管されたパイプは、冷間引抜、すなわちドローベンチという引抜機械で、寸法精度の高いゴルフシャフトの母管に作りあげられていく。こうして完成した母管には、段付けなどの成形加工がなされる。


第15話 段あり・段なしテーパー

スチールシャフトは、グリップ側から先端ヘッド側にかけて、徐々に細くなっている。これをテーパーと言うがテーパーには、段をつけて細くしていく方法と、段なしでなだらかに細くしていく方法の二通りがある。「段付きテーパー」は、各段の外径と同じ寸法の口径のダイスをパイプに押し込んで、段をつけたい位置で止め、また元の位置へダイスを戻す。これを大きい順に繰り返し行う。ダイスのサイズと段の間隔を変えることで、様々な形状を製作できる。「段なしテーパー」は、ロータリースウェージングマシンという機械に、作ろうとするシャフトのテーパー形状と同じ半円形の溝のついたダイスを入れ、回転させている中に材料を徐々に押し込み、所定の長さまで入れたらまた元に戻す。段がないので応力集中による折れの心配はないが、専用ダイスが必要で、寸法精度にやや難がある。


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