シャフト豆知識


第16話 大切な熱処理

スチールシャフトの工程上で強度を出すための熱処理も、大切な要件だ。これは、焼入・焼戻(やきもどし)法の処理によってなされる。焼入は、材料を850°C前後に加熱したものを、ごく短時間のうちに常温の油の中で急冷する処理をいう。焼入後の材料は、大変硬いけれども靭性がないので、非常に脆い状態にあり簡単に折れてしまう。そこで焼戻処理が行われる。焼戻は、焼入よりも低い温度で一定時間加熱して、硬さは若干犠牲に靭性を出す処理である。この硬さと靭性の度合は、温度によって調整できる。また、材質により温度は異なる。熱処理が完了したシャフトには、ストレッチャーという矯正機で真直度が出される。スチールシャフトの最後の工程は、錆発生防止のためにニッケルとその上にクロムを付けるメッキ加工だ。これでスチールシャフトの完成だ。


第17話 各種検査で品質保証

スチールシャフトの品質と性能を保証するために、数々の検査が製品毎にくり返されている。日本シャフトのテスト工程を例に上げると、

① シャフトの曲げに対する強さを調べる「弾性限テスト」
② 最も曲げ応力の高くなるネック部の「永久歪テスト」
③ 強力なインパクトに耐える靭性を調べる「衝撃テスト」
④ シャフトのネジレ度をみる「トルクテスト」
⑤ フレックスを測定するための「フレックステスト」
⑥ シャフトの寿命をみる「疲労テスト」
⑦ スウィング時の最大屈曲点をテストする「ベンドポイントテスト」
⑧ 重心点の検査をする「バランスポイントテスト」


ゴルフの性能を左右するといわれているシャフトは、前記のような種々のテストを経て精度の高い品質が保証された上で、クラブの仕様に従って使用されている。


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