シャフト豆知識


第18話 カーボンシャフトの製造方法(1)

スチールシャフトに続いて、カーボンシャフトの製造工程をご説明したい。カーボンシャフトの製造方法には、シートラッピング法とフィラメントワインディング法の2種類があるが、ここでは、より一般的なシートラッピング法についてご説明する。
カーボンシャフトの材料には、カーボン長繊維を縦方向に均一にして約1m巾とし、それにエポキシ樹脂の未重合のものを含浸させたシート状の物を使う。これを、プリプレグシートと呼ぶ。樹脂は未重合なので長期間保存する時は5℃以上の低温に保つ必要がある。さて、このプリプレグシートという材料を用意して生産が始まる訳だが、最初の工程は定尺裁断である。シャフト軸に平行方向に巻く繊維の時は、シートの長手方向に対して直角に切り取り、その長さはシャフト長さより若干長く切る。シャフト軸に対して斜めに巻く繊維の時は、シートの長手方向に対して予め決められた角度で適当な巾の短冊状に切り取り、その切り取ったものを更にシャフト長さに切り揃える。


第19話 カーボンシャフトの製造方法(2)

カーボンシャフトの製造工程の続き。定尺裁断されたプリプレグシートはシャフト長さの短冊状になっているが、次にそのシートをテーパーパイプ状に巻くために、巻数にあった大きさに型裁断する。形状は細長い扇形であったり、梯形あるいは三角形であったりする。続いて、型裁断したシートを芯金(マンドレル)に巻く前に、芯金に離型剤と仮止め剤を塗る。芯金は後で抜き取るので、抜きやすくするための離型剤とシートを巻く時にズレないようにするための接着用の樹脂である。
次に、ラッピング(ローリング)だ。シャフトの内径と同じテーパー形状の芯金(マンドレル)に型裁断したシートの端を芯金の軸に合わせて、その上を温めたコテなどで軽く押さえ仮止めし、芯金を回転させながらシートを硬く巻きつける。巻きつけるシートの繊維の方向が軸線に平行なものを0℃層、斜めのものをバイアス層と呼び、通常のカーボンシャフトはそれぞれ数層ずつ重ね巻きしている。また、これらの層の間にボロンなどの繊維を1~2層入れることがある。


第20話 カーボンシャフトの製造方法(3)

芯金に巻かれたシートはその上にセロハンテープ等を巻いて強く締めつける。芯金に巻かれたシートは、まだ樹脂が軟らかい状態なので、120℃前後に加熱する。この熱硬化処理で樹脂が硬くなり、強度が加わる。次は、脱芯。芯金を抜き取るとテーパーパイプ状のゴルフシャフトの形状になる。硬化前に巻いたテープは硬化後は不要なので取り除く。続いて、外表面を滑らかにするための研磨を行なう。この時に注意が必要なのは、外径寸法・重量・フレックス等のバラツキがないようにすることである。研磨したシャフトの表面は、灰色がかった黒色で光沢がない。ヘッドやグリップ等との色のコーディネートをするための色塗装や光沢を出したり、逆にツヤ消しをするためのクリヤー塗装など2~3層の塗装を行なう。塗装方法には、スプレーによる吹付塗装(静電塗装機等)とシゴキ塗装がある。そして、ブランドマークやフレックスやその他のスペック等を印刷する。印刷の種類にはスクリーン印刷とパッド印刷があり、多色刷りも出来る。こうして、カーボンシャフトの完成だ。


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